夏の終わりに~さよならアリス。
15歳と9か月。
ラブラドールのアリスが逝った。
(写真は、この春、15歳と4か月のときのもの。)
ちょうどお盆のとき。
ママ犬やきょうだい犬が迎えにきたんだと思う。
この夏、実家に長く滞在していた主な目的は、老犬アリスの介護を手伝うためだった。
以下、大型犬を飼うということ、その壮絶な15年間を語るので、苦手な人は、読まないでください。
アリスは、黒ラブの女の子。
若いときは、ものすごく乱暴で、ほんとうに大変だった。
犬の訓練学校に半年ほど預けたりもした。
その後も、半年以上、月に1回飼い主もいっしょに訓練したりした。
莫大な費用と手間がかかった。
交通事故に遭ったこともある。
動物病院で傷を縫ってもらったのに、糸を噛み切ってしまい、それからずっと傷をなめつづけるので、良い病院を探して、再度手術してもらったりもして、病院の費用も、ものすごくかかった。
結局、脚をなめる癖は治らなかったので、何年もエリザベス・カラーをつけ続けた。
市販のは小さすぎるので、材料を買ってきて手作り。
それでもすぐ壊すし、ごはんや散歩のときにつけたり外したり、これまた手間と費用がかかった。
12歳を過ぎたあたりから、すこしずつおとなしくなったけど、こんどは、どんどん後ろ足が衰えていった。
ことしのお正月あたりから、ハーネスをつけて、トイレのときに庭に連れ出していた。
最初は、ハーネスで持ち上げると歩けていたのが、数か月で完全に萎えてしまった。
ことしの春くらいからは、後ろ足はまったく立たなくなった。
今年に入ってからは、“後追い”と“夜鳴き”をするようになり、粗相をしてしまうことも増えていった。
母の姿が見えないと、いつまでも鳴き続ける。
夜は、何回も吠えて起こす。トイレに行きたいこともあれば、ただ甘えて鳴くことや、冬場は背中にかけてやっていた布団がずれたり…いっそ放っておけばと思うと、粗相していたりするので、結局吠えれば起きるという状態。
夜はもちろん、昼間出かけることもままならない日々。
母の疲労が重なっていくのが切なくて、でも、長期休みしか手伝いに行けない。
職場や学校まで2時間かかるんじゃ、普段は住み込めないよ…
アリスは、頭ははっきりしていて(痴呆が出ているわけではない)、心臓が強いのか、マイペースで生きている。
夏に会ったときには、呼吸がすこしゼイゼイするようになっていたので、肺は弱ってきていたのかな。
春くらいからは、最悪のケース(はっきり言おう。安楽死だ)まで考えていた。
かかりつけの動物病院に相談にも行って、飼い主さんがそういう決断をした場合には…という返事をもらって、それでも、ぎりぎりまで世話をつづけていた。
体力に自信のある母だったが、疲労が重なり、アリスが先か、母が先かというくらいの追い詰められた状態がつづく。
夏のある日。
庭に出たついでに、そのまま外でごはん(ドライフード)を食べて、トイレに立たせたとき、バランスを崩して、勢いよく倒れた。
30分もしないうちに、突然の嘔吐。
倒れたときの衝撃のせいだと思う。
それから何度も吐き、ぐったりしていくアリス。
脱水症状がこわいので、すこしずつ水を飲ませていたのだが、3日ほどたつと、水もごはんも全くとれなくなり、目を見開いたまま、苦しそうにゼイゼイするようになった。
安楽死まで考えていたといっても、目の前で苦しそうにしているのを放っておくことはできない。
獣医さんに往診してもらうと、誤嚥性(ごえんせい)肺炎だろう、との診断。
人間のお年寄りでも聞く、吐いたものが原因の肺炎だ。
ほぼ寝たきりだったからね…
点滴をしてもらうと、呼吸が安定して、落ちついて眠り始めた。
翌日も、同様に往診と点滴。
そのときアリスはリビングにいたのだけれど、獣医さんが、動かすと危ないというので、そのままにして、アドバイスどおり、エアコンもつけたままにした。
母は、夜、リビングのリクライニング・ソファでアリスの横で寝ることにした。
アリスは夫のことが大好きなので、ちょうど夏休みに入った夫もやってきた。
でもその後すぐに、わたしたちは四国へ行くことになっていたので、アリスのことを気にしながら、一旦東京へ帰った。
もう危ないのは確かだろうけど、15年も元気に生きていた体力のあるアリスが、そう簡単に死ぬわけはないだろうと思っていた。
大歩危から高知へ行って、一晩泊まった翌朝。
母から、アリスが夜中にママのところに行ったという連絡が入った。
0時頃、母が起きたときには、まだ生きていたけど、3時に起きたときには、もう冷たくなっていた、と。
体調を崩してから1週間。
あっという間だった。
夏休み中、アリスの面倒を見るつもりだったのに、わたしたちがいないときに逝ってしまった。
母すら知らない間に。
ムスメが言った。
「だれにも見られたくなかったんじゃない?」
せめて火葬だけは一緒に行きたかったけど、高知から帰った足で駆けつけても、夏場の遺体はもたないだろう…
ということで、母だけで業者を探して荼毘に付し、つぎにわたしたちが逝ったときには、アリスは小さくなっていた。
他の人が思うよりずっと、楽しかったことよりも大変だった記憶しかない。
だから、大切な家族をなくして云々とか言われると、けっこう困る。
あれほど大きい犬は番犬としては良かったし、母もたしかに寂しくなったようだけど、15年と9か月。
アリスは長生きしすぎたと思う。
それでも母は、さいごの数か月は、ひたすらアリスのわがままをきいてやり、最期はずっといっしょにいたんだから、アリスも幸せだったし、母自身も悔いはないと思う。
不自然な死を迎えさせないで済んだという安堵感もある。
ただ、元気すぎなアリスの乱暴ぶりや、交通事故後のエリザベス・カラー生活など、母の老後の計画がふっとんだ15年だった。
もちろん、楽しかったことだってあるし、繰り返すけど番犬としては存在だけで十分だった。
大型犬を飼おうと思っている人は、生半可な覚悟では飼わないでください。
飼い始めるなら、飼い主の年齢としては40代が限度だと思う。
もちろん、おとなしくて利口な犬もいるだろうし、10年かそこらで寿命を終える犬もいるだろうけど、その犬がどんな人生を送るのか、子犬のときには、わからない。
12歳を過ぎた大型犬の世話は、ほんとうに大変だよ…
合掌。
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